ふらっと・はーれむ



オープニング



「ああっ……い、いやぁっ……!」
 暗い和室に、女の悲鳴が響いた。
「この……おとなしくしろっ……!」
 男が、声を荒げながら、女を組み敷く。
 女が着ている漆黒の和服が乱れ、白い脚が露わになった。
「ああ……いや……いやよっ……何をするの……!」
 男の下でもがきながら、女が声を上げ続ける。
「おとなしくしろと言ってるだろうっ……!」
 鋭い音が、部屋に響いた。
 男が、女を片手で押さえ付けながら、平手を打ったのだ。
「ひっ……!」
 二度、三度、男が女の頬を張る。
 白い頬が、まるで上気しているように、赤く染まった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
 男は、犬のように息をつきながら、ようやく静かになった女の襟を乱暴に開いた。
「あうぅ……いやぁ……」
 剥き出しにした胸元に唇を押し付けながら、乳房を外に出す。
 仰向けになっても形を崩さないたわわな乳房に、男は、指を食い込ませた。
「あぐっ……い、痛いっ……くひい……」
 女が、苦痛と屈辱に顔を歪める。
「へへ……感じさせてやる……」
 男は、舌で乳房にたっぷりと唾液の跡をつけてから、乳首にむしゃぶりついた。
「あひい……っ!」
 おぞましさに、女が喉をのけぞらせ、身をよじる。
 男は、ちゅばちゅばと音をたてながら、執拗に乳首を吸った。
 男の口の中で、乳首が、徐々に勃起していく。
「へへ……乳首が固くなってきたぞ……。やっぱり感じてるんだな……」
「ううっ……そ、そんなことないわっ……!」
「嘘をつけ……! もっともっと気持ち良くしてやるぞ……!」
「あああ……い、いやよ……いやぁ……!」
 なおも抗おうとする女の体を押さえ付けながら、男は、左右の乳首を交互に口で愛撫した。
 ねちっこく舌の上で転がし、唇で吸い、こすりつけるように歯を立てる。
「ううっ……うああっ……うぐ……ひっ……ひいいいン……!」
 女の唇から、喘ぎが漏れる。
 男が、女の胸を責め続けながら、着物の裾をさらに割る。
 身をよじり、悶える女の形のいい白い脚が、付け根から露わになった。
 女は、ショーツを履いていない。
 剥き出しになった秘部に、男は、無遠慮に手を触れた。
「濡れてるぞ……」
「ううっ……う、嘘よ……そんな……」
「嘘じゃない……。感じてるんだろう……正直に言えよ……!」
 男は、さらに女の胸を舐めしゃぶり、甘く噛みながら、指で秘裂をえぐった。
「あう……ううっ……あ、ああっ、あう……んああああっ……」
 男の指先が、女の蜜にまみれていく。
 男は、指先を肉の狭間に潜り込ませ、さらに動かした。
「あうっ、あっ、あくうっ……! あああ……やめてぇ……! ひあああああッ……!」
「ハァ、ハァ……もっといい声で鳴いてくれよ……へへへへへ……」
 男が、目を血走らせながら、女の秘唇をまさぐり続ける。
「あくううっ……うっ、ううっ、うく……ひ、人で無しっ……! ああっ、あはああぁっ……!」
 女が、力無く男を罵りながらも、悩ましく体をくねらせる。
 その熟れた体が快楽に支配されつつあることは、もはや誰が見ても明らかだ。
「どんどん溢れてくるぞ……。本当は、あいつが死んでから、男が欲しくてたまらなかったんだろう?」
「あううっ……! そ、そんなことないわっ……! あン、あはぁっ……あひ……くひいいぅ……!」
 女の長い睫毛が、涙に濡れる。
「無理をするなよ……。ここは、俺のを咥え込みたくてうずうずしてるんだろう?」
「違う……違うわ……! 勝手なこと言わないでっ……! ひっ、ひいっ……あああ、イヤぁ……!」
 女が、かすかに残った力を振り絞り、男を押しのけようとする。
 だが、その腕の力は、悲しいほどに弱かった。
「そう邪険にするなよ……。俺は、ずっとあんたのことを狙ってたんだぞ……!」
 男は、女の腕を畳に押し付け、白い顔や首筋に唇を這わせた。
「なのに、あんたはあいつとくっつきやがって……今頃、あいつは墓の下でで悔しがってるだろうな……いい気味だ……!」
 そう言いながら、男が、片手で女の体を押さえ、もう片方の手で陰茎を剥き出しにする。
 男のそれは、先走りの汁にまみれながら、禍々しく勃起していた。
「ああ……やめて……それだけは……!」
「ここまで来てやめられるわけないだろうが……。今、俺の女にしてやるからな……!」
 男は、女の脚の間に、無理やりに腰をねじ込んだ。
「イヤっ! イヤっ! イヤぁ〜っ! 誰か……誰か助けて……誰かぁ〜っ!」
「いい加減に観念しろっ!」
 男は、再び女の頬を連続して平手で張った。
「あうっ! ひいっ! あひいいっ! やめて……あうっ……あああああっ……!」
 部屋に、平手打ちの音と、女の泣き声が響く。
 涙に濡れた女の顔に、男は、一層興奮しているようだ。
 股間の肉棒が、さらに膨張し、滴るほどに腺液を漏らしている。
「あう……あああ……あ……あひい……うううぅぅぅ……」
 幾度となく打擲され、女は、ぐったりと顔を横に向けた。
「へへ……入れるぞ……入れてやるっ……!」
 男は、歯を剥き出しにして笑いながら、腰を進ませた。
「あうっ……! あ、ああ、あ……あああああああっ……!」
 男の強引な挿入に、女は、喉を反らせて声を上げた。
「どうだ……全部入ったぞ……!」
 男が、勝ち誇ったように言う。
「あうう……い、いやぁ……抜いてェ……」
「まだそんなこと言ってるのかよ……。今すぐ、俺のに夢中にさせてやるっ……!」
 男は、猛然と腰を使い始めた。
「あっ! あぐうっ! あひっ! ひいいいい! イヤ、イヤ、イヤ、イヤぁ……!」
 女に対する気遣いも、感じさせようという技巧も無い。ただ、欲望に駆られただけの暴力的な抽送だ。
 だが、それが、女の成熟した体を、強制的に快楽の渦へと引きずり込んでいく。
「いやぁ……あああっ、いやよっ……! あうっ! あっ、あひいいい……こんなのひどすぎるわ……んあああああっ……!」
「うううっ……中が絡み付いてくるっ……!」
 男は、女の膣肉がもたらす快楽に、声を上げた。
「た、たまんねえぜ……。あいつは、毎晩こんないい思いをしていたのか……畜生っ……!」
「うううっ……も、もうやめて……あの人のことは言わないでっ……あひいいいい……!」
 激しい快楽の大波に翻弄されながら、女が言った。
 その肌はしっとりと汗に濡れ、ほつれた髪が、うなじに絡み付いている。
「安心しろよ……これからは、俺があんたを可愛がってやるぜ……! あいつの代わりにな……!」
「あああっ、あくっ、あうううっ……まさか……まさか、あの人が死んだのは、あなたの……あああああっ……!」
「俺の仕業だったらどうなんだよ……女冥利に尽きるだろ? ええ?」
 男が、なおも腰を繰り出しながら、女に言う。
「あうううっ……そ、そんな……ひどすぎる……! あなたは人間じゃないわっ……! あっ、あああっ、あひい……ひいいいいいい〜……っ!」
「へへへ……憎い男のチンポでヨガり狂う気分はどうだよ? ええっ?」
 男は、さらに腰の動きを加速させた。
 男と女の結合部から、泡だった体液が溢れ、畳を濡らしていく。
「あうっ、あくうっ、あひ……ひいいいいっ……! ダメ……もうダメぇ……! もうやめてっ……! あっ、あっ、あっ、あっ、あっあっあっあ〜っ……!」
 女の喘ぎ声のトーンが上がり、息がせわしなくなっていく。
 いつしか、女のむっちりと張った腰は、男の肉棒をより深くまで向かえようと、畳から浮いていた。
「ううううっ……中がピクピクしてきたぞ……! イクんだな? 俺のでイクんだろうっ?」
「あひっ、ひいいっ、はひいいいぃ……! そんな……そんなこと……あうっ、ああああっ、あくう……くひいいいいいい〜っ!」
 体内で高まり、溢れようとしている快楽に、女が必死で抗おうとする。
 だが、それは、所詮は無駄な足掻きだった。
「ひひ、ひひひ、ひひひっ……イかせてやる……俺のチンポでイかせてやるぞ……中に出してイかせてやるっ!」
「イヤっ! イヤっ! イヤっ! イヤっ! 中は……中はイヤあああああああー!」
「うぐぐぐ、うおおお、うおおおおっ……!」
 男が、獣のように吠えながら、激しく腰を動かす。
「あああああっ……! ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、ダメぇ……! もうダメぇ〜……! ゆ、許して……あなた、許してぇ……! ああああああああっ! イクッ、イクッ、イクッ、イクうっ! イックうううううううううぅ〜っ!」
 女が、背中を弓なりに反らせて、高みに上り詰める。
 そのしなやかな両脚は、男の腰に絡み付き、最奥部にまでペニスを届かせようと強く引き寄せていた。
「ぐああああああっ……!」
「ああああああああ! イクイクイクイク! イグうぅッ!」
 咆哮とともに男が射精し、女がさらなる絶頂を極める。
「んああああああっ……うああああああ……ああっ……あ、あ、あ、あ……あああ……あひいいいいいィ……」
 子宮の入り口で熱い精液の弾丸を受け止めながら、女が、ひくひくと体を痙攣させる。
 男は、二度、三度、ピストンを続け、最後の一滴まで、精液を女の膣内に注ぎ続けた。
 そして――時が止まったような闇の底で、男と女が、弛緩しきった体を重ねる。
「――あああぁ……っ」
 女が、どす黒い絶望と真紅の歓喜に彩られた吐息をつきながら、意識を失った。




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